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「FP&Aって最近よく聞くけどどんな仕事?」「経理からの転職でFP&Aってどうなの?」こんな悩みはありませんか?
実はFP&Aの仕事をよく理解していない人は多いです。なぜならFP&Aは日系企業にはあまりなく、会社によって業務内容も異なるから。
私は経理関連分野で働いて5年以上。日系経理から転職し、外資系経理部員として管理会計をメインに働いています。
この記事ではFP&Aの仕事について現役管理会計担当者である筆者がご紹介。この記事を読むとFP&Aの仕事や役割が分かり、管理会計分野の仕事をやってみたくなりますよ!
結論はFP&Aとは会社の事業の意思決定をサポートする管理会計の専門家。以下のような仕事を担当して、会計の視点からビジネスをサポートします。
- 月次予算の策定
- 月次実績の予測
- 予実分析と報告
- 改善策の検討
- 将来収益やコストの試算
- 事業方針決定のサポート
- 投資判断のサポート
- その他会計数値に関する問い合わせ対応
「FP&Aになる具体的な方法を知りたい!」という方は以下の記事をご覧ください。私の実際の転職経験をもとに、管理会計職への転職成功率を高めるロードマップを解説しています。
FP&Aとは事業の意思決定をサポートする管理会計の専門家
FP&Aとは管理会計の専門家
FP&Aとは「Financial Planning & Analysis」の略で管理会計の専門家のこと。管理会計の専門家として事業の財務分析、予測や計画の策定を行い、会計の視点から意思決定をサポートします。
外資系ではポピュラーな職種ですが、日系ではまだ少なく経営企画などが同業務を行うケースが多いです。
経理業務のIT化に伴い、今後重視される経理関連職種の1つとなっています!
経理の将来性についてはこちらの記事をご覧ください。
>>経理の仕事はなくなる?なくならない?
FP&Aと管理会計の違い
FP&Aと管理会計の違いはその概念にあります。それぞれ以下のとおりです。
FP&A:管理会計を専門的に扱う部署のこと
管理会計:自社の経営のために内部的に扱う会計のこと
FP&Aは部署のことで管理会計は会計の種類のことを指します。
管理会計を使って働く人をFP&Aと呼ぶイメージです。
FP&Aの仕事
FP&Aの主な仕事は以下のとおりです。管理会計を使った事業の予実分析や計画策定がメインの業務となっています。
- 月次予算の策定
- 月次実績の予測
- 予実分析と報告
- 改善策の検討
- 将来収益やコストの試算
- 事業方針決定のサポート
- 投資判断のサポート
- その他会計数値に関する問い合わせ対応
詳細を解説していきます。
- 月次予算の策定
事業の過去実績や今後のトレンド予測から、月次予算を策定します。事業で発生する費用に関して、事業部担当者と詳細を確認し月次予算の精度を高めていくことが重要です。
- 月次実績の予測
策定した予算をもとに月次の事業実績を予測。事業の目標値との乖離要因を分析し、継続的な乖離要因が発生していないか確認します。
- 予実分析と報告
実績が出たら予実分析を実施します。予測値との乖離要因を分析し、変動理由や今後の状況を事業担当者等と確認することが重要です。その後は自部門上司、事業部担当、事業部長などに報告していきます。
- 改善策の検討
予実分析の状況により、改善策の検討をサポートします。FP&Aの役割は、会計数値を用いて様々なシミュレーションをすること。事業の改善策の検討に、会計面からデータを提供しています。
- 将来収益やコストの試算
事業の判断に用いるため、将来の収益やコストの試算をします。四半期、年ごとなどで試算し、今後の収支予測を立てていくイメージです。事業部から様々な前提条件を設定した試算の依頼を受けることも。
- 事業方針決定のサポート
会計面から事業方針決定のサポートをします。予実分析や試算の結果を用いて総合的な判断ができるように導くのもFP&Aの仕事です。
- 投資判断のサポート
突発的に起こる人事や設備に関する投資判断をサポート。費用対効果を試算し、会計面から投資すべきかどうかの判断材料を提供します。
- その他会計数値に関する問い合わせ対応
会計数値に関する事業部からの突発的な問い合わせにも対応します。実績値の詳細確認、会計数値の試算依頼、会計的な処理方法の相談など様々です。
このようにFP&Aの仕事は、会計面からビジネスをサポートすることです。財務会計で出した数値を、管理会計を用いて事業に落とし込むことが求められます。
会計数値を使うのがFP&Aの仕事!
FP&Aに期待される3つの役割
FP&Aに期待される役割は、経営者や事業部に伴走して、会計面からビジネスの意思決定をサポートすることです。具体的には以下の3つ。
- 精度の高い計画策定
- 予実分析による事業の問題点洗い出し
- 意思決定のための会計データ報告
精度の高い計画策定
FP&Aは過去実績や今後のトレンドを理解して、精度の高い計画を立てることが重要です。なぜなら計画をもとに事業を進めることがほとんどだから。
計画の精度が高くないと、事業の方向性も不明瞭になってしまいます…
そこで管理会計をもとに精度の高い計画策定を行うことが、FP&Aに期待される役割といえます。
過去実績の横引きだけにならないよう注意!
予実分析による事業の問題点洗い出し
FP&Aは実績数値の原因を確認し、問題点を洗い出す必要があります。その理由は、予実分析をもとに今後に生かすことが重要だから。
予実分析で計画との乖離を確認して終わりというわけにはいきません。事業は続くものなので、予実分析の結果は今後に生かすことに意味があります。
そのため予実分析により事業の問題点を洗い出すことがFP&Aに期待される役割です。
意思決定のための会計データ報告
FP&Aは意思決定を会計面からサポートします。有用な会計データを報告することが重要です。
表面的なデータでは重要な意思決定のためには不十分。データが有用なものでなければ、意思決定の判断材料にはなりません。
そのため管理会計の専門家であるFP&Aにこそ、意味のある会計データの報告が期待されるのです。
計画・分析・報告がキーワードです!
このようにFP&Aに期待される役割はかなり大きいです。大変ですが経営に近い仕事のためやりがいも十分あります!簡単な仕事ではないので、役割を果たせるように努力と経験が必要です。
FP&Aになるには?経理経験者におすすめ!
FP&Aになるにはその業務がある会社に転職することが必要です。FP&Aは日本ではまだ少ない仕事だから。筆者も実際にFP&Aへの転職に成功した、おすすめのロードマップは以下のとおりです。
- 財務会計を1年以上経験
- 転職エージェントに1社登録
- 管理会計の勉強
- 管理会計を仕事に活用
- 転職エージェントに5社登録
- 転職サイトに登録
- 管理会計を仕事にするための転職活動
FP&Aを始めとする管理会計分野は求人が少ないことが特徴です。そのため上記ロードマップに沿って戦略的に転職活動をしていきましょう。
ロードマップの詳細はこちらの記事をご覧ください。実体験に基づいて転職ノウハウを詰め込んでいます。
>>管理会計職(FP&A)に転職するための超具体的ロードマップ
20代で管理会計分野に転職する人は少ないので、参考になると思います!
FP&Aに向いている人の特徴は経理とは違う!
FP&Aに向いている人は、経理とは少し異なります。なぜなら経理は財務会計がメイン、FP&Aは管理会計がメインだから。FP&Aに向いている人の特徴は以下のとおりです。
- 管理会計がやりたい
- 会計面から事業のサポートがしたい
- 会計数値から状況を分析することが好き
- 経理以外とのコミュニケーションが苦じゃない
- ITや英語、問題解決力など会計以外のスキルにも強みがある
経理に向いてなくてもFP&Aに向いている可能性は十分あります。会計スキルを武器に働きたい人の選択肢としてFP&Aはおすすめです!
FP&A(管理会計職)と経理(財務会計職)どちらに向いているか悩んでいる人は、こちらの記事をご覧ください。
>>経理に向いている人・向いていない人の特徴
>>財務会計と管理会計の違い(準備中)
FP&Aに必要なスキルは?【ジェネラリストの資質も必要】
FP&Aは管理会計の専門家ですが、必要なスキルはそれだけではありません。なぜなら経理関連職の中でも経営層に近いポジションのため、ジェネラリストの資質も必要だから。FP&Aに必要とされる主なスキルは以下のとおりです。
- 管理会計スキル
- 財務会計スキル
- 他部署とのコミュニケーション能力
- システム読解などのITスキル
- 会計数値を論理的に捉える問題解決力
- 臨機応変な対応力
- ビジネス英語スキル(読み書き必須)
会計スキルをベースに様々なソフトスキルを持つことで、FP&Aとしての能力を底上げしてくれます。
FP&Aに必要なスキルの詳細はこちらの記事をご覧ください。
>>管理会計職(FP&A)に必要なスキル7選
コミュニケーション能力や対応力がないと、FP&Aはしんどいです…
FP&Aのキャリアパスや将来性は?AIの台頭で注目度アップ!
FP&AはAIの台頭により注目度がアップしています。なぜならAIを初めとしたITの活用により、経理業務は簡素化や効率化に比重を置くようになるからです。
そのため効率化されたあとに残るのは、ビジネスに活用するための会計。管理会計をメインに扱うFP&Aはその代表職種の1つというわけです。
最終地点としてはCFOや経営者がイメージしやすいです。FP&AはCFOを目指す人の登竜門ともいわれます。もちろん経理に転職して管理会計スキルを強みにすることも可能ですよ!
将来性は十分にあります。なぜなら今後経理のIT化が進み、単純な財務会計業務はなくなっていくから。
FP&Aで得られるスキルは経理関連職で働くうえで強みになります。
FP&Aのキャリアパスや将来性についての詳細は、こちらの記事をご覧ください。
外資系FP&Aの年収が高い理由
外資系FP&Aの年収は高い傾向にあります。その主な理由は以下の2つです。
- 外資系のベース年収が高い
- 経営に近い重要ポジションだから
今の会社の年収が不満な経理部員にとって、外資系FP&Aはおすすめの選択肢です。
私も日系経理から外資系経理(FP&A)へ転職して、年収が100万円以上アップしました。
FP&Aのデメリット3選
ここでは筆者が外資系で管理会計を3年以上経験して感じた、FP&Aのデメリットを解説します。特に財務会計と比較して記載するので、経理からFP&Aを目指す人は参考にしてください。
突発的な仕事依頼が多い
FP&Aは突発的に仕事を依頼されることが多いです。FP&Aはビジネスに近い仕事であり、ビジネスの状況は刻一刻と変わるから。そのため毎回求められる数値や分析は異なります。
例えば以下のような依頼を突発的に受けることがあります。
- 予実分析指標の追加や変更
- 予算の突発的な変更
- イレギュラー事象への会計的対応
- 投資判断の分析
- 為替変動リスクの調査
私の場合このような突発的な仕事依頼はほぼ毎月発生します。決まったルーティンで仕事をしたい人にはつらい環境となってしまいますね。
突発的な仕事をこなしていると対応力や問題解決力が上がります。これはビジネスパーソンとして重要なスキルなので、キャリアのための成長という意味ではプラスに働くことも多いですよ。
やることがほぼ決まっている財務会計とは違うので、慣れるまで大変です!
管理職や経営層との会議や仕事が多い
FP&Aは管理職や経営層と関わる仕事が多いです。事業の管理会計を担当しているので、その責任者である管理職や経営層への報告なども必要となるから。以下のような場面で管理職や経営層と関わります。
- 予実分析結果の報告
- 当月の予測値の報告
- 予算策定の報告
- 突発的な依頼への対応
- 相談事への対応
管理職や経営層として働く人との会議は正直大変です。かなり緊張感もあり、プレッシャーとなる場面もあります。
経理関連で働くうえでは、長期的に見ると管理職や経営層との関わりは重要です。早いうちにその経験ができるので、FP&Aでの経験は自分の成長速度を加速させてくれます。
様々な部署間の調整役となる仕事が多い
FP&Aは様々な部署と関わりがあり、その調整役となる仕事も多いです。管理会計の数値を集計したり分析する際に部署間でのやり取りは必須だからです。具体的には以下のとおり。
- 経理に人件費の計上について確認
- 人事に対象者の人件費の確からしさを確認
- 事業部に対象者の仕事内容や時間を確認
- FP&A内で事前報告と今後の対応を検討
- 事業部長に報告
想定外の事態での対応では、部署をまたいでやり取りをして事実確認や今後の検討をしていく必要があります。
その軸となるのがFP&Aで、調整役の仕事をしなければなりません。様々な人とのやり取りが必要となるので、対応が難しくしんどいこともあります。
部署間の調整役はかなりしんどいですが、その分希少価値が高い経験です。経理関連で働くうえで有利な経験となるので将来的にはプラスとなります。
いろんな立場の人と関わるのは想像以上に難しいです。
FP&Aは面白い?つまらない?
FP&Aの仕事は経営に近くて面白いです。ただFP&Aがつまらない、合わないと感じる人もいるのは事実。
なぜならFP&Aの業務内容は会社によって異なるケースも多いからです。FP&Aがつまらないと感じる理由は以下のとおりです。
- データ加工や資料作成がメインの業務になっている
- ビジネスのサポートをできている気がしない
- クリエイティブな仕事が想定より少ない
- ビジネスサイドに頼られておらず雑務をやらされる
- FP&Aのキャリアパスがよく分からない
FP&Aは経理とは異なる面から会計スキルを武器に仕事ができます。経理がつまらないと思う人は検討する価値が大いにありますよ!
経理やFP&Aの仕事がつまらないと言われる理由は、こちらの記事をご覧ください。
>>経理がつまらない7つの理由
>>FP&Aがつまらない5つの理由
まとめ:管理会計の専門家であるFP&Aになって、経理キャリアに強みをつけよう!
FP&Aとは事業の意思決定をサポートする管理会計の専門家。経営者や事業部に伴走して、会計面からビジネスの意思決定をサポートすることを期待されます。
難易度が高い仕事ですが、管理会計に強みを持ってやりがいのある仕事をしたい経理部員におすすめですよ!
若手のうちは財務会計→管理会計→財務会計というキャリアも十分可能なので、将来的に管理会計に強い経理を目指す方にもおすすめです。
FP&Aなどの管理会計職は重要なポジションであり、求人が少ない仕事です。そのため経理から管理会計分野へ転職するのは簡単ではありません。
そこで私の経験をもとに、経理部員が管理会計職(FP&A)へ転職する方法をまとめました!管理会計分野が気になる方はご覧ください。
>>管理会計職(FP&A)に転職するための超具体的ロードマップ