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- 経費精算ってなに?
- 経費精算の流れはどんな感じ?
- 経費精算業務に時間がかかってつらい
こんな悩みはありませんか?実は経費精算業務は非効率なことが多い仕事です。なぜなら経費精算は経理部内だけでは完結せず、多くの関係者がいるから。
私は新卒から経理部員として5年以上。経費精算業務も何年間も経験しています。経費精算書を探しに社内を徘徊したり、何度も差し戻して逆ギレされたりと苦労してきました…
この記事では経費精算の内容と流れ、効率化のポイントについて実体験をもとに解説します。この記事を読むことで経費精算の全貌が分かり、面倒な経費精算業務が効率化できますよ!
結論として経費精算とは経費精算とは従業員が立て替えた費用を会社から支払う処理です。経費精算のプロセスと効率化するポイントを理解して、経理のスキルアップにつなげましょう。
経費精算とは従業員が立て替えた費用を会社から支払う処理
経費精算の目的
経費精算の目的は従業員が業務で立て替えた費用を適切に会社から支払い、企業の財務管理の透明性を保つことです。もし経費精算が適切に実施されていなければ、以下のような状態になります。
- 従業員が経費の立て替えをしたがらず、業務に支障が出る
- 不正な経費精算が横行し、企業の資金管理に影響が出る
経費精算は企業と従業員が健全な状態を保つために重要です。経理部員はその適切な運用を推進する役割を担っています。
経費精算が必要な理由
経費精算は必要不可欠な対応です。適切な経費精算が必要な理由は、大きく分けて以下の3つ。
- 従業員のモチベーション維持
従業員が業務上必要な費用を自身で負担することは、モチベーションの低下につながってしまいます。
- 会社法に基づいた適正な会計処理
会社は事業で発生した収入と費用を正確に記録し、財務状況を明らかにする義務があります。経費精算は適正な会計処理のために必須です。
- 不正防止
経費精算のプロセスで適切な承認フローを入れることで、不正行為を未然に防ぐことができます。不正な経費申請を防止し、企業の財産を守ることが重要です。
経費精算は従業員と会社双方にとって、多くのメリットをもたらす重要な業務プロセスです。企業は適切な経費精算プロセスを導入し、運用していくことが求められます。
経費精算の基礎知識
経費と費用の違い
経費と費用はどちらも「会社のお金が使われたこと」を表す言葉です。会計上は異なる意味があり、それぞれ以下のとおり。
費用 | 商品やサービスを仕入れた際の費用、従業員への給与、水道光熱費など 企業活動において発生するあらゆる支出 |
経費 | 売上を得るため、事業活動を行うために直接的に必要となった費用 |
例えば業務関連の旅費交通費は業務に直接関係するため、経費となります。具体的には営業活動のための交通費や出張の際の宿泊費など。
経理部員は「経費」と「費用」の違いを正しく理解しましょう。経費精算の必要性や意味を認識するために重要です。
経費精算の対象となる費用・ならない費用
経費精算の対象となる費用は、業務に直接関連する必要不可欠な支出。個人的な支出や業務に直接関連しない費用は、経費精算の対象とはなりません。
経費精算の対象となる費用・ならない費用の例は以下のとおりです。
【経費精算の対象となる】 費用例 | 詳細 |
---|---|
旅費交通費 | 営業活動のための交通費や宿泊費 |
消耗品費 | 事務所で使用するコピー用紙やペン |
接待交際費 | 顧客とのビジネスランチ |
研修費 | スキルアップ目的の研修参加 |
【経費精算の対象とならない】 費用例 | 詳細 |
---|---|
個人的な出費 | 個人的に購入した衣服や私用での交通費 |
私的な贈答品やお土産 | 個人的な理由で購入したお土産 |
資産の購入 | 会社の資産の購入は取得時は経費にならず減価償却で経費となる |
税金の納付 | 法人税や法人住民税の納付 |
費用を全て経費にできるわけではありません。特に経理部員は、かかった費用が経費精算の対象となるかどうかを正確に区別することが重要です。
経理部員が経費精算の対象を理解すべき理由
経費精算の対象となる費用を正確に判断することは、経理部員として非常に重要なスキルです。経費精算の対象となる費用を明確に理解し、適切に運用することで以下のメリットがあります。
- 会社の財務の健全性維持
- 税務リスクの低減
- 従業員間の公平性確保
- 経費の無駄遣い防止
経理部員は経費精算を適切に処理することで、会社の財務管理の質向上や経営の効率化に貢献できます。
経費精算の流れ
経費精算は以下のプロセスで進むことが多いです。スムーズに経費精算が進むよう、経理部員は全体像を理解しておきましょう。
- 経費立て替えの発生
- 領収書の受領
- 経費精算書の作成
- 経費精算書の承認
- 経理による確認
- 経費の支払い
経費立て替えの発生
経費立て替えとは従業員が業務上必要な経費を一時的に立て替えること。 経費精算の最初のステップであり、各従業員が適切に立て替えを行うことがその後の円滑なプロセスにつながります。
経費の立て替えが発生する理由は、業務上すぐに支払いが必要な際に会社が直接支払えない場合があるから。具体的には以下のとおりです。
- 営業担当者が顧客との急な会食で会社名義のクレジットカードが使えない
- 少額の備品購入など都度会社が支払うことが非効率
このような場合に従業員が一時的に費用を立て替えることで、業務を滞りなく進めることができます。経費立て替えは従業員の一時的な金銭的負担が生じますが、業務を円滑に進めるために必要です。
経理部員は従業員が適切に立て替え処理できるよう、立替方法や精算手順を従業員に伝えておきましょう。
領収書の受領
領収書の受領は経費精算で最も重要です。適切な領収書の取得と管理は、正確な経費精算に必須だから。法人税法施行規則第五十九条では、経費の証憑として領収書等の保存が求められています。
参考:e-Gov法令検索「法人税法施行規則 第五十九条 帳簿書類の整理保存」
領収書はもらえばいいというものではありません。領収書に必要な情報は以下のとおりです。
- 取引日
- 宛名(会社名)
- 金額
- 取引内容
- 発行者の名称・住所
必要情報が漏れていると、経費として認められなかったり領収書の再発行が必要になったりします。領収書が不適切だと経理部員も申請者も大変なだけ。経理部員は領収書の重要性を事前に従業員へ周知しておきましょう。
意外に領収書の記載内容を気にしていない従業員も多いです。
経費精算書の作成
経費を立て替えた従業員は、領収書を証憑として会社のルールに沿った経費精算書を作成します。経費精算書の作成は立て替えた経費の正確な記録と会計処理のために重要です。
経費精算書に記載する主な項目は以下のとおり。
- 申請者情報(氏名、部署、社員番号など)
- 申請日
- 経費発生日
- 経費の種類(交通費、消耗品費、接待交際費など)
- 金額
- 支払先
- 経費の目的
- 領収書の添付
経費精算は領収書を経理に渡してOKではありません。領収書をもとに適切な経費精算書を作成することで、不正な経費精算の防止や正確な会計処理につながります。
経費精算書の承認
経費精算書には金額や内容に応じた承認が必要です。承認を通して経費の内容を確認し会社として経費の支払いを認めることになるからです。経費精算書の承認が必要な理由は以下のとおり。
虚偽の内容での経費申請や私的な費用を業務費用として申請するなど、不正行為を未然に防ぐ効果があります。
部署やプロジェクトごとに設定された予算内で経費が使われているかを確認し、予算超過を防ぐことができます。
承認プロセスがあることで従業員一人ひとりが経費精算について意識し、責任ある行動を促進することにつながります。
経費精算書の承認は単なる形式的なプロセスではありません。会社のコンプライアンス意識向上と健全な財務状況維持のために重要な役割を担っています。
経理部員としては承認フローが適切に行われていることの確認や、必要に応じた改善提案が重要です。
経理による確認
経費精算書が承認されると、経理部員による確認が実施されます。経理の立場から経費の正当性や計算の正確性を最終チェックする非常に重要なプロセスです。経理による確認が重要な理由は以下のとおりです。
意図的でない計算ミスや記載漏れを防ぎ、正確な経費処理を実現します。また内容に不審点がないか確認することで、不正な経費請求を未然に防ぐことができます。
税法上の要件を満たしているか、領収書が適切かなどを確認することでコンプライアンスリスクを低減します。
経費精算に関するルールが正しく運用されているかをチェックすることで、社内統制の強化につながります。
経理による確認は企業全体のコンプライアンスやリスク管理、健全な経営を支える重要な役割を担っています。経理部員は責任感を持って、専門的な知識に基づいた経費精算書の確認を行いましょう。
経費の支払い
承認された経費精算書に基づき、従業員に対して立て替えた金額を支払います。経理担当は迅速かつ正確な支払いをしましょう。経費の支払いが重要な理由は以下のとおりです。
- 従業員の信頼を保つ
経費の支払いが遅延すると従業員に不信感を与え、モチベーションの低下につながる可能性があります。
- 内部統制の強化になる
迅速に支払いが行われることで、不正な支払いや遅延を防ぎ内部統制を強化することができます。
経費の支払いで経費精算プロセスは完了です。経理部員は支払期日を守って正確な金額を支払うことを徹底しましょう。従業員が安心して業務に集中できる環境づくりに貢献できます。
私も経費の支払いが遅くなって怒られた経験があります…
経費精算を効率的に対応する9つのポイント
経費精算は非効率なことが多いです。経理部だけではなく様々な人が関わるプロセスだから。ここでは実体験をもとに経費精算を効率化するポイントを紹介します。
- 申請ルールを明確化
- テンプレートの活用
- 経費精算の勉強会を実施
- 承認フローの最適化
- 定期的な申請を促す
- 経理のチェックリスト作成
- 経費精算の処理状況を可視化する
- ペーパーレス化
- 経費精算システムの導入検討
申請ルールを明確化
経費精算を効率化するには申請ルールを明確化し、全従業員に周知徹底することが重要です。曖昧なルールは申請ミスや不正のリスクを高めるだけでなく、経理部員の負担を増やす原因にもなるからです。
明確な申請ルールのメリットは以下のとおり。
- 申請ミスの削減
- 承認・精算処理の迅速化
- 不正の防止
- 業務の標準化
申請ルールの明確化により経費精算業務を効率化できます。経理部員は自社のルールを定期的に見直し、改善を続けましょう。
テンプレートの活用
経費精算書はテンプレートを活用することが有効です。テンプレートがあることで記入漏れや誤りを防ぎ、作成や確認の時間を短縮することができるから。テンプレートを活用するメリットは以下のとおりです。
- 記入時間の短縮
- 記入漏れや誤りの削減
- 確認や処理時間の短縮
経費精算書のテンプレートはExcelを使って簡単に作成することができます。例えばExcelで経費精算書のテンプレートを作成する場合、以下のような項目を盛り込みましょう。
業務効率化の方法 | 詳細 |
---|---|
申請日 | 経費精算書を提出する日付 |
氏名 | 申請者の氏名 |
所属部署 | 申請者の所属部署 |
経費科目 | 交通費、消耗品費など経費の種類を選択 |
発生日 | 経費が発生した日付 |
内容 | 経費の内容 (例:タクシー代、事務用品費など) |
支払い先 | 経費を支払った相手先 (例:JR東日本、〇〇タクシーなど) |
金額 | 経費の金額 |
備考 | その他の補足事項 (例:顧客名、訪問先など) |
テンプレートの活用は経費精算業務を効率化するうえで非常に有効です。ぜひ自社の業務フローに合ったテンプレートを活用してみてください。
経費精算の勉強会を実施
経費精算業務を効率化するためには申請する従業員の協力が必須。経費精算書の誤りが多いと経理の負担も増えるからです。経費精算書を正確に作成してもらうには、従業員に対して経費精算の勉強会を実施することが効果的です。
経費精算の勉強会では、以下のような内容を取り上げると良いでしょう。
内容 | 詳細 |
---|---|
経費精算の基礎知識 | 経費の定義、対象となる費用・対象とならない費用の説明 |
社内ルール | 申請期限、承認フロー、領収書の取り扱いなど社内独自のルールを説明 |
よくあるミスと防止策 | 過去の事例をもとに具体的なミスと対策を分かりやすく解説 |
不正事例とペナルティ | 不正な経費申請の実例とそれに伴う懲戒処分内容などを説明 |
システムの使い方 | 経費精算システムを利用している場合は操作方法を丁寧にレクチャー |
質疑応答 | 従業員からの質問に答え疑問点を解消 |
経費精算の勉強会は、従業員の意識改革と理解度向上につながります。勉強会の開催や分かりやすい資料作成を検討してみてください。
私も経費精算の勉強会実施や資料共有をした経験があります。
承認フローの最適化
承認フローの最適化とは経費精算の承認プロセスを簡素化・明確化して無駄な時間を削減することです。従来の複雑な承認フローを見直すことで、担当者や承認者の負担を軽減し業務効率化とヒューマンエラー防止を実現しましょう。
経費精算の承認フローが複雑だと、以下のような問題が起きる可能性があります。
複雑な承認フローは承認を得るまでに時間がかかり、その後の処理や従業員への支払いが遅延する原因となります。
多くの関係者が関与する複雑な承認フローは、書類の回覧や確認作業など担当者や承認者にとって大きな負担になります。
複雑な承認フローは書類の紛失や誤った承認ルートによる承認ミスなど、ヒューマンエラーのリスクを高めます。
承認フローの最適化は企業にとって多くのメリットをもたらします。経費精算業務を効率化するために承認フローの見直しは重要なポイントです。
定期的な申請を促す
経費精算を効率的に行うには、従業員に定期的な申請を促すことが重要です。締め切り間際にまとめて申請されると様々なトラブルが起きやすいから。経費精算の申請が締め切り付近に集中すると、以下のような問題が発生する可能性があります。
- 経理部員の業務が集中し、処理が遅延する
- 処理の遅れにより、従業員への支払いが遅れる
- 大量の申請内容を確認する必要があるため、チェックミスが発生しやすくなる
- 締め切り間際の焦りから、申請内容に不備が生じやすくなる
定期的な経費精算を促すことは、経理部員だけでなく従業員にとっても多くのメリットがあります。経理部員は定期的な経費精算を促して、経費精算の業務負荷を分散させましょう。
経費精算書は漏れやミスも多いので、早めに提出してもらうことが重要です。
経理のチェックリスト作成
経費精算を効率化するために、経理部員向けのチェックリストを作成しましょう。チェックリストは経費精算の確認業務を効率化し、ミスや不正を防止することができるからです。
経費精算の確認業務へのチェックリストの活用には、以下のメリットがあります。
- 確認すべきポイントを明確化することでチェック漏れやミスを防止になる
- チェック項目が明確になることで効率的に確認業務を進められる
- チェックリストによる標準化で担当者によるバラつきをなくせる
- 不正の可能性が高い項目をリストに含めることで不正リスクの抑制になる
経理部員向けのチェックリストは経費精算業務の効率化や正確性の向上、不正リスクの抑制に貢献します。 チェックリストがもしなければ作成し、すでにあれば内容の更新をしましょう。
経費精算の処理状況を可視化する
経費精算の処理状況を可視化することで、経費精算業務を効率化できます。処理状況が可視化されると、遅延が起きている場合の原因を特定して対応できるから。経費精算の可視化がおすすめな理由は以下のとおりです。
- 業務の透明性向上
経費精算の各段階が可視化されることで、どこで処理が滞っているかを迅速に把握でき関係者全員が進捗状況を把握できます。
- 効率性の向上
処理状況をリアルタイムで確認できるため、問題が発生した際に迅速に対応でき業務効率が向上します。
経費精算の処理状況を可視化できると経費精算の業務効率が上がります。しかし経費精算の処理状況を可視化するには、経費精算システムの導入が必要になることが多いので注意が必要です。
私の会社も経費精算システム導入のおかげで処理状況が可視化できるようになりました!
ペーパーレス化
経費精算のペーパーレス化とは紙ベースでの運用をデジタル化し、申請から承認、保管までを電子的に行うこと。ペーパーレス化によって業務効率化やコスト削減、紛失リスクの軽減など多くのメリットが期待できます。
従来の紙ベースでの経費精算には、以下のような問題点があります。
- 申請書や領収書の印刷、押印、郵送など多くの時間と手間がかかる
- 紙代、印刷代、郵送費など様々なコストが発生する
- 紙の書類は、紛失や破損のリスクがある
- 紙の書類を保管するためには、保管スペースの確保が必要になる
経費精算のペーパーレス化は企業にとって多くのメリットをもたらします。毎月発生する経費精算業務だからこそ、手間を減らしていきたいですよね。
経費精算システムの導入検討
経費精算システムの導入は、経費精算業務の効率化とコスト削減に大きく貢献します。経費精算システムは今までかかっていた無駄な時間や手間を減らしてくれるから。経費精算システム導入のメリットは以下のとおりです。
- 申請の手間が減らせる
- 場所に関係なくWebで処理や確認ができる
- 不正を防止できる
- 自動計算により確認作業を減らせる
- 経費精算の処理状況を可視化できる
- ペーパレス化ができる
経費精算システムの導入は経費精算業務の効率化のみならず、全社的なコスト削減や不正リスクの軽減につながります。導入検討の際には自社の課題解決や業務フローに順応できるシステムを選定することが必要です。
若手経理部員はシステム導入経験が積めるので積極的に関わりましょう!
まとめ:経費精算業務は効率化余地が大きい仕事
経費精算業務は非効率なことが多い仕事です。担当することが多い若手経理部員は、どうやって効率化できるかを考えるようにしましょう。経費精算を効率化するポイントは以下のとおり。
- 申請ルールを明確化
- テンプレートの活用
- 経費精算の勉強会を実施
- 承認フローの最適化
- 定期的な申請を促す
- 経理のチェックリスト作成
- 経費精算の処理状況を可視化する
- ペーパーレス化
- 経費精算システムの導入検討
経費精算はルーティン業務になることが多いですが、財務会計の基礎になる重要な経験です。ぜひ将来の経理キャリアを見据えて前向きに経験し効率化させてみましょう。
経費精算を含む経理の主要な仕事内容については、こちらの記事をご覧ください。