インボイス制度の全知識!経理部員が知るべき変更点と対応方法を現役経理部員が解説

この記事には広告を含む場合があります。

記事内で紹介する商品を購入することで、当サイトに売り上げの一部が還元されることがあります。

  • インボイス制度ってなに?
  • インボイス制度の導入でどう変わるの?
  • インボイス制度で経理が知っておくべきポイントは?

こんな悩みはありませんか?実はインボイス制度の詳細を理解していない経理部員も多いです。なぜならインボイス制度は2023年10月の導入から日が浅く、現状対応していない事業者もいるから。

私は新卒から経理部員として5年以上。インボイス制度についても業務の中で対応しています。

この記事ではインボイス制度導入による変更点、経理が知っておくべきポイントについて徹底調査をもとに解説します。この記事を読むことでインボイス制度について分かり、経理として知っておくべきことが整理できますよ!

結論としてインボイス制度とは消費税の新たな申告制度のことです。インボイス制度導入による変更点は以下のとおり。

  • インボイス(適格請求書)の発行義務
  • インボイスへの記載事項の追加
  • 仕入税額控除の要件が厳格化
  • 免税事業者への影響

ではどうすればインボイス制度を理解し、経理部員として適切に対応できるのでしょうか?本記事では経理が知っておくべきインボイス制度に関して詳しく解説していきます。

執筆者情報

目次

  1. インボイス制度とは消費税の新たな申告制度
  2. インボイス制度導入による変更点
  3. 【経理必見】インボイス制度導入ガイド
  4. インボイス制度で経理部員が気をつけるべきポイント
  5. 【事業者別】インボイス制度対応ポイント
  6. 電子インボイスの導入がおすすめな理由
  7. インボイス制度のよくある質問
  8. 経理部員は早めにインボイス制度を理解しておこう

インボイス制度とは消費税の新たな申告制度

インボイス制度は消費税を適切に申告・納付するための新たな申告制度です。国税庁によるとインボイス制度とは以下のとおり。

令和5年10月1日に開始された、複数税率の下で適正な課税を確保する ための仕入税額控除の方式です。

引用:国税庁「インボイス制度オンライン説明会基礎編」

インボイス制度の対応方法を理解することがスムーズな導入に重要です。

インボイス制度導入の目的

インボイス制度導入の主な目的は、事業者間の消費税の適正な流通と納税を促進することです。

例えば製造業者(売り手)と小売業者(買い手)の取引の場合、適切な消費税納税のためには売り手と買い手の消費税の認識を合わせる必要があります。インボイスの適切な交付と保存によって、双方の税率と税額の認識を一致させることができるのです。

インボイス制度は事業者間での消費税の流通を明確にし、不正な免税や還付を防ぐために導入されました。

インボイス制度の基本的な仕組み

インボイス制度の根幹は、インボイス発行事業者による請求書の発行にあります。事前に登録した課税事業者がインボイス制度に合った請求書(適格請求書)を発行することが重要です。

インボイス制度に合った請求書に必要な項目は以下のとおり。

  • 交付先の買い手(売上先)の氏名または名称
  • 取引年月日
  • 税率ごとに区分して合計した対価の額及び適用税率
  • 売り手(自社)の氏名または名称及び登録番号
  • 取引内容(軽減税率の対象品目である旨)
  • 税率ごとに区分した消費税額

参考:国税庁「インボイス制度オンライン説明会導入編」

インボイスという新たな名称の書類を発行するのではなく、今までの請求書や領収書に不足している情報を追加するイメージです。請求書に記載される情報を整えることで、消費税の透明性が高まり納税額の適正化が図られます。

インボイス制度導入で得られるメリット

インボイス制度を導入することのメリットは以下のとおりです。

  • 軽減税率を正確に把握できる
  • 消費税の透明性の向上
  • 不正取引の防止
  • 納税プロセスの簡素化
  • 電子インボイスによる業務効率化

導入にかかる対応は必要ですが、上記のメリットにより事業の運営がより明確かつ効率的になります。

インボイス発行事業者の要件

インボイス発行事業者になるためには、申請して税務署長の登録を受ける必要があります。

具体的にはインボイス発行事業者の登録申請書を提出し、税務署に承認を受ければOKです。国税庁による登録手続きの概要は以下のとおり。

適格請求書発行事業者の登録を受けようとする事業者(登録を受けることができるのは、課税事業者に限られます。)は、納税地を所轄する税務署長に「適格請求書発行事業者の登録申請書」(以下「登録申請書」といいます。)を提出する必要があります(登録申請手続は、e-Tax でもできます(P3)。


登録申請書の提出を受けた税務署長は、登録拒否要件に該当しない場合には、適格請求書発行事業者登録簿に法定事項を登載して登録を行い、登録を受けた事業者に対して、その旨を通知することとされています(e-Tax で申請した場合は、登録通知をデータで受け取る(P3)ことができます。)。

引用:国税庁「適格請求書等保存方式(インボイス制度)の手引き」

インボイス制度への対応は経理部員にとって避けては通れない道です。インボイス制度への理解と適切な対応は、会社の事業存続にも影響があります。

インボイス制度導入による変更点

インボイス制度の導入は、経理部員にとって非常に重要な変更です。インボイス制度導入による変更点は以下のとおり。

  • インボイス(適格請求書)の発行義務
  • インボイスへの記載事項の追加
  • 仕入税額控除の要件が厳格化
  • 免税事業者への影響

インボイス(適格請求書)の発行義務

インボイス発行事業者になると、売り手となる取引の際に以下の義務が発生します。

売り手の義務詳細
インボイスの交付取引の買い手(課税事業者)から求められたときは、
インボイスを交付する
返還インボイスの交付返品や値引きなど売上に関する対価の返還等を行う場合に、
返還インボイスを交付する
※売上に関する対価の返還等の金額が1万円未満の場合を除く
修正したインボイスの交付交付したインボイスに誤りがあった場合に、修正したインボイスを交付する
交付済みインボイスのコピー保存自社が交付したインボイスのコピーを保存する
参考:国税庁「インボイス制度オンライン説明会基礎編」

インボイス発行事業者はインボイスに関する義務を負うことになります。インボイスの発行と保存を適切に実施することが重要です。

インボイスへの記載事項の追加

インボイス制度を導入すると、請求書の記載事項が増えます。請求書がさらに詳細な情報を含むことになり、消費税額の適正な計算が可能となります。インボイス制度導入で必要となる記載事項は以下のとおり。

  • インボイス発行事業者の氏名又は名称及び登録番号
  • 取引年月日
  • 取引内容(軽減税率の対象品目である旨)
  • 税率ごとに区分して合計した対価の額(税抜き又は税込み)及び適用税率
  • 税率ごとに区分した消費税額等
  • 書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称

参考:国税庁「インボイス制度オンライン説明会基礎編」

従来の請求書よりも記載する項目が増えるので、注意が必要です。

請求書の詳細な作り方はこちらの記事をご覧ください。

>>請求書の作り方(準備中)

仕入税額控除の要件が厳格化

仕入税額控除とは、消費税の納付額を決める際に差し引く計算のことです。計算式は以下のとおり。

売上の消費税額-仕入税額控除(仕入れや経費の消費税額)=納付する税額

インボイス制度ではこの仕入税額控除の要件が厳格化します。具体的には以下のとおりです。

  • 帳簿の保存
  • インボイスなどの請求書の保存

不備のないインボイスを保存していないと仕入税額控除が認められません。仕入取引においては適切なインボイスの取得と保管が必要になります。

免税事業者への影響

免税事業者もインボイス制度の影響を受けます。免税事業者から行った課税仕入れは、原則として仕入税額控除の適用を受けることができないから。

しかし制度開始後6年間(2029年9月30日まで)は、免税事業者からの課税仕入れについても仕入税額相当額の一定割合を仕入税額として控除できる経過措置が設けられています。

参考:国税庁「インボイス制度オンライン説明会基礎編」

免税事業者は仕入税額控除の適用が受けられなくなります。また免税事業者の扱いから外れると、インボイス制度への適応が必要になるため注意が必要です。

【経理必見】インボイス制度導入ガイド

インボイス制度の導入は、経理部門にとって大きな変更点です。インボイス制度への理解を深めることが経理部員には必須となります。以下のとおり、まずはインボイス制度導入の準備が必要です。

  • インボイス制度導入による変更点の理解
  • インボイス発行事業者への登録手続き
  • インボイス発行の業務フローを整理
  • インボイス受取の業務フローを整理
  • 社内システムの見直し
  • 免税事業者との取引

インボイス制度導入による変更点の理解

インボイス制度の導入で、取引ごとの記録と保管がより詳細に求められるようになります。これまで以上に正確なデータの取り扱いが不可欠です。具体的には以下のとおり。

  • インボイス制度に対応した請求書の発行
  • インボイス制度に対応した請求書の保管
  • 処理を正確に記した帳簿の保管

インボイス制度に対応した請求書の定義を理解しましょう。

>>インボイスへの記載事項の追加

インボイス発行事業者への登録手続き

事業者間の取引ではインボイス発行事業者であることが前提となるため、まずは登録が必要です。具体的なステップは以下のとおり。

  • インボイス発行事業者に登録するか検討
  • インボイス発行事業者の登録申請書を提出
  • 税務署に承認を受ければOK

インボイス発行事業者の登録を受けるかどうかは事業者の任意です。しかしインボイス(適格請求書)を発行したい場合には、事前に登録が必要なので注意しましょう。

>>インボイス発行事業者の要件

インボイス発行の業務フローを整理

インボイス制度では、発行内容の正確さが求められます。発行業務のフローを整理することで、ミスを減らしましょう。インボイス発行の例は以下のとおり。

  • インボイス制度で必要な項目を社内周知
  • 登録番号の確認
  • 適用税率の確認
  • 消費税額の計算
  • 請求書に必要な項目が揃っていることを確認
  • 請求書発行
  • 発行した請求書のコピー保存

インボイス制度導入によって請求書内に必要な項目が増えました。経理部員はこれらを理解して、漏れのないように請求書を発行することが重要です。

>>インボイスへの記載事項の追加

インボイス受取の業務フローを整理 

請求書の受け取り側としても、受領から支払いまでのプロセスを見直す必要があります。経理部員は受け取った請求書内容に不備がないかも確認しないといけないから。インボイス受取の例は以下のとおり。

  • 取引先がインボイス発行事業者かどうか確認
  • 請求書がインボイス制度に対応しているか確認
  • 不備がある場合請求書の修正を取引先へ依頼
  • 請求書に対する支払い
  • 支払い明細と該当請求書の保管

受け取ったインボイスの内容を正確に把握し、必要な記録を行うことが大切です。

社内システムの見直し

インボイス制度に対応するためには、場合によっては社内システムの見直しが欠かせません。請求書を会計ソフトから発行していることも多いから。以下のような情報を請求書に追加する必要があります。

  • インボイス発行事業者の氏名又は名称及び登録番号
  • 取引内容(軽減税率の対象品目である旨)
  • 税率ごとに区分して合計した対価の額(税抜き又は税込み)及び適用税率
  • 税率ごとに区分した消費税額等

インボイス制度に適合する会計ソフトの導入や既存システムのアップデートが必要になるかもしれません。

免税事業者との取引

免税事業者との取引では注意が必要です。経過措置はありますが、インボイス制度の導入後は免税事業者からの課税仕入れは仕入税額控除の適用を受けられないから。具体的な注意点は以下のとおり。

  • 取引先が免税事業者かどうか確認
  • 免税事業者との取引による消費税納付への影響を検討
  • 免税事業者との取引の方針を検討
  • 必要により取引先の変更やインボイス発行事業者登録依頼

インボイス制度への登録は任意です。そのため特に免税事業者はインボイス発行事業者となっていないこともあり、取引の際には確認が必要となります。

インボイス制度で経理部員が気をつけるべきポイント

インボイス制度に適切に対応するためには、経理部員が押さえておくべき重要なポイントがあります。経理部員が気をつけるべきポイントは以下のとおり。

  • 請求書受取時のチェック強化
  • 仕入税額控除の可否判断
  • インボイスの保存と管理
  • 取引先とのコミュニケーション
  • インボイス制度の社内教育とサポート

請求書受取時のチェック強化

インボイス制度が導入されると、経理は請求書のチェックをより厳密に行う必要があります。請求書受取時のチェックを強化することは、適切な税額控除を確保する上で不可欠だから。具体的には以下のようなポイントを確認することが重要です。

  • 登録番号が正しく記載されているか
  • 課税対象の商品やサービスに対する正しい税率が適用されているか
  • 取引年月日に間違いがないか
  • 税率ごとに区分した消費税額が合っているか

インボイス制度では、受領した請求書に自ら追記はできません。もし請求書のミスが発覚したら、発行者である取引先に連絡して修正を依頼しましょう。

仕入税額控除の可否判断

仕入税額控除の可否を判断することは、会社の消費税納付額を計算するうえで重要です。

インボイス制度では、正しい請求書の受領が仕入税額控除を受けるための前提条件となるから。仕入税額控除にならない場合は以下のとおりです。

  • インボイス発行事業者ではない会社からの仕入
  • 免税事業者からの仕入
  • インボイス制度に対応していない請求書の受領

インボイス制度が導入されると、仕入がすべて仕入税額控除にはなるとは限りません。取引先がインボイス発行事業者かどうか、受領した請求書が適切かどうかを確認しましょう。

請求書の保存と管理

請求書の適切な保存と管理をさらに徹底することが重要です。仕入税額控除には請求書の保存が必須だから。具体的な対策は以下のとおり。

  • 業務フローに請求書の保存と管理まで入れ込む
  • 請求書の保存をダブルチェック
  • 請求書の管理担当者を決める
  • 週一度くらい請求書の管理状況をチェックする

請求書の紛失や破損を避けるために、確実に保存と管理ができる体制を作りましょう。

取引先とのコミュニケーション

取引先と積極的にコミュニケーションを取ることも、インボイス制度対応の鍵です。特に請求書の正しい取り扱いや必要な情報の交換について、共通の理解を持つことが重要だから。取引先とのコミュニケーションが重要な例は以下のとおり。

  • インボイス発行事業者になるかどうかの判断
  • インボイス制度に適した請求書のフォーマット検討
  • 請求書の誤りの迅速な修正
  • 適用税率の認識合わせ

インボイス制度では、取引先とのコミュニケーションがより重要になります。適切なコミュニケーションを取ることで、お互いに支障のない取引ができるようにしましょう。

インボイス制度の社内教育とサポート

経理部員はインボイス制度に関する社内教育とサポートを行うことも大切です。インボイス制度について理解し社内に広げることは、経理部門に求められる役割だから。インボイス制度の社内教育とサポートの例は以下のとおりです。

  • インボイス制度について社内勉強会を開催する
  • 定期的にインボイス制度についての情報共有をする
  • 請求書に関するミスがあれば当事者に連携する
  • インボイス制度について質問できる環境を整える

従業員全員がインボイス制度の概要を理解し、適切に対応できるように経理部員のサポートが必要です。

【事業者別】インボイス制度対応ポイント

インボイス制度の導入はすべての事業者にとって重要な転換期です。ここでは、以下の事業者別にインボイス制度への対応ポイントを解説します。

  • 課税事業者
  • 免税事業者
  • 個人事業主・フリーランス

課税事業者

課税事業者はインボイス制度の影響を受ける主な対象です。インボイス制度に関して課税事業者の対応ポイントは以下のとおり。

  • インボイス発行事業者への登録判断
  • システムの更新や社員の研修検討
  • 取引先とのコミュニケーション
  • インボイス制度に対応した請求書の発行

インボイス発行事業者への登録は任意ですが、すでに課税事業者の場合は登録するかどうかの迅速な判断が必要です。

免税事業者

免税事業者はインボイス制度の対象外ですが、取引先が課税事業者である場合影響を受ける可能性があります。取引先から要求される書類様式が変わることがあるから。インボイス制度に関して免税事業者の対応ポイントは以下のとおりです。

  • インボイス発行事業者になるかどうか検討
  • 課税事業者となった場合の変更点を確認
  • 取引先とのコミュニケーション
  • 書類様式等の変更依頼への対応

自らが免税事業者でも、課税事業者と取引を続けるにはインボイス制度に関する基本的理解が重要です。まずは免税事業者のままでいるのか、インボイス発行事業者になるのかを検討しましょう。

個人事業主・フリーランス

個人事業主やフリーランスは、売上の規模からして免税事業者であることが多いです。

しかしインボイス制度の導入は大きな変更です。取引先が課税事業者の場合、免税事業者だと取引先を失う可能性もあるから。個人事業主やフリーランスの対応ポイントは以下のとおりです。

  • インボイス制度について知識をつける
  • 必要に応じて専門家に聞く
  • 取引先とのコミュニケーション
  • 免税事業者のままで良いか判断

個人事業主やフリーランスは少人数で運営していることがほとんど。負担は大きいですがインボイス制度に関して知識をつけて、まずは免税事業者のままでいるかどうかの判断が必要です。

電子インボイスの導入がおすすめな理由

インボイス制度の導入に合わせてデジタル化を進めると、相乗効果をもたらします。電子インボイスの導入により、業務の効率化から透明性の向上まで企業運営に幅広いメリットがあるから。ここでは、電子インボイスについて以下のとおり解説します。

  • 電子インボイスと紙のインボイスの違い
  • 電子インボイスのメリット
  • 電子インボイスの利用方法
  • 電子インボイスのポイント

電子インボイスと紙のインボイスの違い

電子インボイスと紙のインボイスは、処理の速度とコスト面で大きく異なります。具体的な違いは以下のとおり。

電子インボイス紙のインボイス
処理期間即時に送受信が可能郵送等の時間がかかる
保存方法データのまま保存可能印刷して保存が必要
保存場所パソコン上でデータとして保存保存する専用のロッカーなどが必要

電子インボイスだと、紙のインボイスより取引が早くなり請求書に関するコストも減少します。

電子インボイスのメリット

電子インボイスの最大のメリットは、効率性とコスト削減です。具体的には以下のとおり。

  • 紙のインボイスにかかる郵送や保管コストが不要
  • 印刷やファイリング作業が不要
  • 業務フローがスリム化される
  • データの自動入力により入力ミスのリスクが減る
  • 請求書のチェックがやりやすい
  • 必要な請求書を探しやすい

電子インボイスは経理業務を大きく変えます。電子インボイス導入の手間を乗り越えれば、無駄な作業や不要なミスを減らすメリットがあるのです。

電子インボイスの利用方法

電子インボイスの利用方法は非常にシンプルです。具体的には以下のとおり。

  • 電子インボイスを発行できるシステムの導入
  • 仕入明細書の記載事項を確認
  • 専用のシステムで必要事項を入力して電子インボイスを送信
  • 提供した電子インボイスの保存

この簡単なステップにより、経理は請求書にかかる時間を大幅に節約できます。電子インボイスに関するシステムの導入から始めましょう。

電子インボイスのポイント

電子インボイスの導入にはいくつかのポイントがあります。特に紙での請求書発行に慣れている会社だと、電子化対応には注意が必要です。具体的なポイントは以下のとおり。

  • システムの選定は使用する機能とコストのバランスを考慮する
  • 従業員に電子インボイスシステムの使用方法をトレーニングする
  • 電子帳簿保存法に準じて方法で電子インボイスを保存する
  • 提供した電子インボイスも適切に保存する
  • ダウンロード不要で仕入税額控除可能な場合もある

参考:国税庁「インボイス制度オンライン説明会基礎編」

参考:国税庁「インボイス制度オンライン説明会応用編」

インボイス制度の対応に電子インボイス導入を組み合わせることで、経理の業務効率化を実現できます。電子インボイスの導入は、業務効率を高めてくれる重要なステップです。

インボイス制度のよくある質問

インボイス制度への対応を怠ると、企業運営に重大な影響が及ぶ場合もあります。ここではインボイス制度のよくある質問をまとめました。

インボイス制度の導入はいつから?

インボイス制度は2023年10月1日から導入されています。インボイス制度は事業者の消費税納税額の適切な計算を促進するために開始されました。

インボイス制度に対応しないとどうなる?罰則はある?

登録するかどうかは事業者の任意であり、罰則はありません。しかしインボイス制度に対応しない場合、自社の売上先は自社との取引において仕入税額控除ができなくなります。そのため売上先から取引を終了されるリスクがあります。

インボイス制度におけるインボイス発行事業者とは?

インボイス発行事業者とは、税務署から登録を受けてインボイス(適格請求書)を発行できる事業者のことを指します。この登録を行うことで、課税事業者は消費税納付額計算時に仕入税額控除が可能になります。

インボイス制度導入後、請求書に記載が必要な事項は?

インボイス制度導入後、以下のような詳細な情報の記載が必要になります。

  • インボイス発行事業者の氏名又は名称及び登録番号
  • 取引年月日
  • 取引内容(軽減税率の対象品目である旨)
  • 税率ごとに区分して合計した対価の額(税抜き又は税込み)及び適用税率
  • 税率ごとに区分した消費税額等
  • 書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称

引用:国税庁「インボイス制度オンライン説明会基礎編」

これらの情報は消費税の正確な申告のために重要です。

インボイス制度で影響を受ける事業者はどのような業種?

インボイス制度は、商品やサービスを提供するすべての事業者に影響を及ぼします。特に課税事業者は、インボイス制度を導入するために対応が必要。これには小売業、卸売業、製造業、サービス業など多岐にわたる業種が含まれます。

小規模事業者はインボイス制度の対象になる?

小規模事業者もインボイス制度の対象となります。ただし消費税の免税事業者はインボイス発行事業者になることができず、従来の請求書とは異なる書式の請求書を発行することになります。インボイス制度を導入するためには、課税事業者になる必要があります。

免税事業者と取引する場合どのような影響がある?

免税事業者からの仕入ではインボイスが発行されないため、仕入税額控除を受けられません。その分消費税納税額の計算に影響があります。

インボイスを受領できなかった場合どうすればいい?

該当取引先に速やかに連絡し、発行を依頼する必要があります。インボイス制度においては、原則として請求書や帳簿の保存が仕入税額控除の要件となるから。

ただしインボイスの交付を受けることが困難な一定の場合は、買い手は一定の記載をした帳簿のみ保存で仕入税額控除が可能となります。

参考:国税庁「インボイス制度オンライン説明会基礎編」

インボイスの記載事項に誤りがあった場合はどうなる?

発行元に連絡し、訂正を依頼するべきです。インボイス制度導入後は、受領者による請求書への追記は不可となります。正しいインボイスの取得は、後の税務調査において問題が発生しないために必要です。

インボイスの保存期間はどれくらい?

以下のとおり、法律で7年間の保存が義務付けられています。

適格請求書発行事業者には、交付した適格請求書の写し及び提供した適格請求書に係る電磁的記録の保存義務があります(消法57の4⑥)。

この適格請求書の写しや電磁的記録については、交付した日又は提供した日の属する課税期間の末日の翌日から2月を経過した日から7年間、納税地又はその取引に係る事務所、事業所その他これらに準ずるものの所在地に保存しなければなりません(消令70の13①)。

(参考) 仕入税額控除の要件として保存すべき請求書等についても、同様です(消令50①)。

引用:国税庁「5 適格請求書等の写しの保存」

この期間内に税務調査が行われる可能性があり、適切な保存が経営の安全性を守るために重要です。

経理部員は早めにインボイス制度を理解しておこう

インボイス制度に対応する準備は、経理部員にとって意味がある行動です。すべての事業者にインボイス制度適用の可能性があるから。たとえ今の会社で対応が不要でも、転職先ではインボイス制度を適用していることも多いです。

インボイス制度を理解しておくことで経理として消費税の適切な処理を実施し、将来的な税務調査にも自信を持って臨むことができます。まずはインボイス制度導入による以下の変更点を押さえておきましょう。

  • インボイス(適格請求書)の発行義務
  • インボイスへの記載事項の追加
  • 仕入税額控除の要件が厳格化
  • 免税事業者への影響

インボイス制度に対応するためには、経理部員が先頭に立ち最新の情報を得ることが重要。インボイス制度のように新しい制度の知識を身につけ、日々の業務に生かすことが経理部員に求められるスキルセットです。

請求書の作り方はこちらの記事をご覧ください。

>>請求書の作り方(準備中)

経理特化で財務会計・管理会計どちらもOK
【MS-Japan】の詳細はコチラ
経理特化で財務会計・管理会計どちらもOK
【MS-Japan】の詳細はコチラ